糖尿病について②
前回に引き続き糖尿病についてです。
血液中の糖分が増加するとどうなるのでしょうか?細かいしくみがありますが想像しやすいように簡単に述べます。
まず血液中に糖分が増えると、血液中に溶けている物質を一定にするために薄めるための水分が欲しくなります(多飲)。糖分を排出するために尿量が増えます(多尿)。糖分が多い血液はドロッとして流れにくくなるため毛細血管の多いところで詰まりやすくなります。毛細血管の多いところと言えば腎臓(腎症)、網膜(網膜症)、脳(脳梗塞)、手先、足先(神経症)などです。このような糖尿病の特徴的な症状はいろいろな所で目にするのではないでしょうか。
糖尿で「透析になる」や「目が見えなくなる」、「足が壊死する」などと言われるのはこれらの症状を指しています。
さて気になる記事を目にしたので紹介したいと思います。それは第三の糖尿病とか3型糖尿病と言われるものです。
これは何かと言うとアルツハイマー型認知症のことです。糖尿病の人はそうではない人と比べて将来アルツハイマー型認知症を発症するリスクが高いと言うことが分かってきています。
血糖値が高いことで大量のインスリンが分泌されるのですが、このインスリンが多い状態が続くとインスリンがあるにもかかわらず働かないインスリン抵抗性と言う状態になります。なぜインスリン抵抗性になるかはいろいろ推測されてはいますがまだよく分かっていないようです。体の中での話ですが、血糖値が高いからインスリンをより分泌する。けれどもインスリン抵抗性により血糖値が下がらない、血糖値が下がらないからさらにインスリンを分泌するということになり高血糖、高インスリン状態となります。
一方、アルツハイマー型認知症には脳のゴミと言われている、アミロイドβ(ベータ)が関わっているといわれています。そして、このアミロイドβを掃除してくれる酵素がインスリンを分解する酵素でもあるらしく先述の通り高インスリン状態であれば当然のようにインスリンも大量に分解しなければならず、脳のゴミ掃除にまで十分に足りない状態となるのは想像できますよね。またインスリンの作用によって脳細胞にエネルギー源である糖を供給していますが、それがインスリン抵抗性の状態では十分に行われなくなるようです。
脳細胞にとっては、毒でもあるアミロイドβというゴミは溜まっていくは、十分なエネルギーは供給されないはで正常にはたらくのが困難となります。
もちろんこれだけがアルツハイマー型認知症の原因では無いのでしょうし、研究が進めばもっといろいろなことが分かってくるとは思います。でも高血糖とアルツハイマー型認知症の間には相関があるのは事実のようです。
ここまでのお話でお伝えしたいのは、認知症だから血糖値をコントロールしましょうと言うよりは、まだ発症していない人たちに高血糖に、糖尿病にならないように生活習慣を見直しましょうと言うことです。自分が認知症になるのも嫌ですし、認知症になった自分の面倒を誰かにみてもらうのも辛いですからね。