喜多見のインドカレー【世田谷の介護ヘルパーのグルメ 第21話】
喜多見のインドカレー【世田谷の介護ヘルパーのグルメ 第21話】
東京の世田谷で介護の仕事をしている清水です。
【世田谷の介護ヘルパーのグルメ】第21話は、喜多見で見つけたアジア料理店のインドカレーをご紹介します。
さて、グルメ記事の前に、いつものように介護の豆知識からまいりましょう。
本日のテーマは、介護保険制度の”理念”です。
介護保険制度の理念
以下の文章は、介護保険法の第1条を要約したものです。
介護保険制度は、要介護状態となった高齢者が”尊厳”を保持し、その有する能力に応じ”自立”した日常生活を営むことができるよう、必要な保険医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うことを目的としている。
介護保険法では【尊厳の保持】と【自立支援】の2つが基本理念として定められています。
そのため、われわれ介護職員がサービスを提供する際は、ご利用者様の尊厳を守るさまざまな配慮が求められます。
尊厳に配慮する理由
なぜ、尊厳を守らなければならないのでしょうか?
その理由は、尊厳が”心身の健康”や”幸福感”と密接に関係しているからです。
誰しも、尊厳を傷つけられれば、”自己肯定感”が下がりやすくなります。
そして、自己肯定感が低い状態が長く続くと、大きなストレスを抱えたり、無気力になったりします。
こうした状態は、介護をされる側、する側の双方にとって好ましくありません。
介護サービスをスムーズに提供するためにも、相手を尊重する姿勢が重要なのです。
尊厳を守るための具体的な行動
ご利用者様の尊厳を守るために、介護職員は気をつけることをいくつか挙げてみます。
1.ご利用者様の”意思”を尊重する
2.ご利用者様の”プライバシー”を守る
3.ご利用者様の”私物”を勝手に触らない
4.ご利用者様に”接遇マナー”を実践する
5.ご利用者様に”虐待や身体拘束”をしない
尊厳の保持は、日本国憲法13条に記された”すべて国民は個人として尊重される”の規定に基づいています。
また、同条文では”生命、自由、幸福追求の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする”との幸福追求権も規定されています。
自分の人生をどのように生きるかを”自らの意思”で決定することができる。
そうした状態が、尊厳が守られており適切であると言えます。
あくまでも主役はご利用者様であり、介護者はいわば”黒子”の存在なのです。
言葉遣いで気をつけていること
最後に、ご利用者様に対する言葉遣いで、私が気をつけていることを書いてみたいと思います。
最も気をつけていることは、相手への”敬意”です。
例え要介護状態であったとしても、目上の方であることに変わりはありません。
さまざまな経験を積み、豊富な知見を持った人生の先輩方です。
そのため、会話をする時の基本スタイルは”敬語”です。
ご利用者様のタイプによって多少アレンジはするものの、丁寧な言葉遣いを心掛けています。
そして、私が最もNGだと思うのは、”やってあげている”感の言葉遣いです。
敬意がない態度や言葉遣いに対して、高齢の方は敏感に反応することが多く、嫌悪感や不信感から”介護拒否”に発展することもあります。
さて、本日のグルメ記事本編では、自身が飲食店で体験したエピソードを基に接遇マナーの大切について考えてみたいと思います。
今回ご紹介するお店は、小田急線喜多見駅から5分ほどの場所にある【アジアン料理 サハラ】です。
インドの風を感じられる佇まい
サハラさんは、12月に開設する喜多見の訪問介護事業所の近くにあり、その目立つ看板と豊富なメニューが以前から気になっていました。
『近くでカレーを食べるなら、ココしかない!』
ターゲット、ロックオンです。
インド映画で流れる軽快な音楽が、脳内で繰り返し再生されます。
そして、11月の中旬、遂に初訪問の機会が訪れました。
店内に入ると、私が案内された2名席のテーブル以外、先客で埋まっていました。
座れて良かった。
カレーと言えばこの飲み物
まずは、インドの定番ドリンク “ラッシー”をいただきます。
『そうそう、この甘酸っぱさがいいんだよ。』
初めてラッシーを飲んだのは、学生の頃。
メーヤウという店名のやはりカレー屋さんでした。
さわやかな酸味と程よい甘味が、辛いカレーによく合います。
『そう言えば、名犬ラッシーのほかに、名犬ジョリィって話もあったな〜』
すぐにしょうもないことを思い出すのが、私の悪い癖です。
ちなみに、小学生の時に名犬ジョリィの歌を唄いながら走って登校したら、兄に他人のフリをされました。
次にカレーセットのサラダが出てきました。
よく見かけるドレッシングかと思いましたが、後味がちょっと違います。
『う〜ん、このあたりが”インド風”なのかも』
おいしいので、カレーが来る前に食べ切ってしまいました。
辛口カレーを注文したので、サラダがなくなったのはちょっと心配です。
連鎖するアクシデント
実は、カレーを待っている間、隣のテーブルに座っていた4人組のママ友さんのマシンガントークに圧倒されていました。
いつものペースが掴めないまま、カレーが到着…
!?
『ナンがデカい、まるで枕じゃないか』
これまでで最も大きいナンに圧倒され、まさに、ナンなんだ状態。
予想外の展開で、インド戦はアウェイの様相を呈してきたその時です。
「カシャーン!」
金属音が店内に響きました。
あろうことか、動揺した私がスプーンを床に落としてしまったのです。
『取り返しのつかないことをしてしまった…』
女神があらわる
そんな迷える子羊を救ってくれた”女神”がいました。
サハラでフロアを担当しているインド人と思しき女性です。
キラキラと輝く瞳と自然な笑顔が印象的なその女性は、すぐに落ちたスプーンを拾い何事もなかったかのように振る舞ってくれたのです。
金属音で一瞬止まった店内の時間が、すぐにまた動き始めました。
顔から火が出るほど恥ずかしい…
ですが、その女性の接遇マナーで救われた気持ちになったのです。
その後、徐々に落ち着きを取り戻した私は、本格インドカレーをゆっくりと堪能し、ナンのハーフをおかわりしてしまいました。
彼女の機転がなければ、気まずさを感じそそくさと店を後にしたことでしょう。
本当にありがとうございました。
さて、今回は接遇マナーひとつで利用者の気持ちが”天と地ほど変わる”ことを自身の体験を通じてお伝えしてみました。
読者の皆さんはどう感じたでしょうか?
それでは、また次回の【世田谷の介護ヘルパーのグルメ】でお会いしましょう!
【店舗情報】
店 名:アジアン料理 サハラ 喜多見店
住 所:〒157-0067 東京都世田谷区喜多見8-12−5
電 話:03-5429-6444
時 間:ランチ:11時30分~14時30分 夜: 17時30分~21時45分
※営業時間は変更になることがあります
定休日:なし
※2024年11月23日現在