自信をつける
今まで出掛けることが大好きだった人が、病気やケガを機に、あるいは加齢を理由に全く外出しなくなってしまった。
よくある話ではないでしょうか。
病院でたくさん、たくさんリハビリをして歩けるようになって自宅に帰ってきたのにです。
なぜなのでしょう。
きっとこんなことではないでしょうか。
病気やケガ、加齢によって「以前のようには歩けない」「もう自分は歩けない」と思い込んでしまっているのではないかと思います。つまり自信を失っている状態だと思います。逆にとらえれば自信がつけば、また歩いてくれる可能性があるのです。
「自信をつけてください」と言われてもどうすればよいのでしょうか?
周りの人が「自信を持って」「がんばれ」と言ったところで簡単にはできないことだと思います。
大切なことは、ご本人が「できる」あるいは「できそうだ」と気付くことです。
そのために必要なことが「できた(またはできそうだ)という“経験”」です。この「できた」「できそう」というのは『自己効力感』と言います。自己効力感とは、自分にある目標を達成する能力があるということを知っていることを言います。
自己効力感を高めるにはいくつかの要素があります。
遂行行動の達成:やってみてできたと感じること
代理的体験:他人の話や他人が行っているのを見て、自分にもできそうと感じること
言語的説得:言葉によって論理的に説明されたり、励まされたりしてできそうと感じること
情動的喚起:不安や恐れを取り除くこと、カウンセリングやセラピーによって気持ちが落ち着いて行動に結びつくこと
私たちのケアやリハビリでは、「できた」という成功体験をできるだけたくさんしていただくために失敗しないように練習し、できた(できそうな)時にはしっかりと伝えるようにしています。もちろん最悪な失敗体験は絶対にさせないように事前の環境整備、適切な介助も行なっています。
ご自宅でも、危ないから「やらせない」「やってあげてしまう」。そんなことばかりではなく、失敗しないように周りを整えてあげて、過不足の無い介助で挑戦してみるのも良いと思います。「できた」「できそう」と感じてくれれば、その先の生活が変わるかも知れませんよ。
人の気持ちを変えるのは難しいかもしれませんが、ご利用者様を取り巻くたくさんの人たちで支えることで、きっと前に進めると信じています。